オいかんがえが、海の人魚のように、そのなかでおよぎまわっているというのです。それから、こんどはお姫さまの額《ひたい》のことをいって、それは、このうえなくりっぱな広間と絵のある雪の山だといいました。それから、かわいらしい赤ちゃんをもってくるこうのとりのことを話しました。
そう、どれもなかなかおもしろい話でした。そこで、むすこは、お姫さまに、わたしのおよめさんになってくださいといいました、お姫さまは、すぐ「はい。」とこたえました。「でもこんどいらっしゃるのは土曜日にしていただきますわ。」と、お姫さまはいいました。「その晩は王さまとお妃《きさき》さまがここへお茶においでになるのですよ。わたしそこでトルコの神さまとご婚礼するのよといって上げたら、おふたりともずいぶん鼻をたかくなさるでしょう。でも、あなた、そのときはせいぜいおもしろいお話をしてあげてくださいましね。両親とも、たいへんお話ずきなのですからね。おかあさまは、教訓のある、高尚なお話が好きですし、おとうさまは、わらえるような、おもしろいお話が好きですわ。」
「ええ、わたしは、お話のほかには、なんにも、ご婚礼のおくりものをもってこないこ
前へ
次へ
全17ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング