黷ノなるさっそく、なんでもたいへん運のわるいおむこさんをおむかえになるという、いやなうらない[#「うらない」に傍点]がでたものですから、そのわるいおむこさんのよりつけないように、王さまとお妃《きさき》さまがごいっしょにおいでのときのほか、だれもおそばにいけないのでよ。」
「いや、ありがとう。」
 むすこはこういって、また森へもどっていきました。そうして、すぐかばんのなかにはいると、そのままお城の屋根のうえへとんでいって、お姫さまのおへやの窓からそっとなかにはいりました。
 お姫さまは、ソファのうえで休んでいました。それが、いかにもうつくしいので、むすこはついキスしずには、いられませんでした。それで、お姫さまは目をさまして、たいそうびっくりした顔をしました。
 でも、むすこは、こわがることはない、わたしは、トルコの神さまで、空をあるいて、わざわざやって来たのだといいますと、お姫さまはうれしそうににっこりしました。
 ふたりはならんで腰をかけて、いろんな話をしました。むすこはまず、お姫さまの目のことを話しました。なんでもそれはこのうえなくきれいな黒い水をたたえた、ふたつのみずうみで、うつく
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