きに、「いひなづけ、又の名青い鳥のえらぶもの」といふ、これも五幕十一景といふお芝居をおなじ作者が書きました。今、この二つの作を一つにつづけて、第一部「幼年の卷」、第二部「少年の卷」として、わたくしはこの物語を書きました。(それを書くについては、メーテルリンク氏の夫人のジョルジェット・ルブランさんの書いた「子供のための青い鳥」、メーテルリンク氏の全作品の專門飜譯家《せんもんほんやくか》としてきこえたアレグザンダ・デ・マトーズ氏のおなじく「子供のためのチルチル」といふ二つの本がもとになりました。)それは、どちらもチルチル、ミチルの兄妹《あにいもと》の物語で、ことに男の主人公のチルチルが、前は十一歳の幼年時代、のちは十七歳の少年時代とわかれて、活躍してゐるからです。
ところで、「青い鳥」のあらすぢをいへば、それは、クリスマスの前の晩に、木こりの子供のチルチル、ミチルが、妖女にたのまれて、「青い鳥」をさがしに、「光」の少女の先導《せんだう》で、「犬」や「猫」や「パン」や、そのほか大勢のお供を連れて、人間の心には感じてはゐても、その肉身の目には見えないでゐる、いはば靈魂《れいこん》のふしぎな國
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