ねずみの嫁入り
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)ある家《いえ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)まっ四|角《かく》
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 むかし、むかし、ある家《いえ》のお倉《くら》の中に、お米《こめ》を持《も》って、麦《むぎ》を持《も》って、粟《あわ》を持《も》って、豆《まめ》を持《も》って、たいそうゆたかに暮《く》らしているお金《かね》持《も》ちのねずみが住《す》んでおりました。
 子供《こども》がないので神《かみ》さまにお願《ねが》いしますと、やっと女《おんな》の子が生《う》まれました。その子はずんずん大きくなって、かがやくほど美《うつく》しくなって、それはねずみのお国《くに》でだれ一人《ひとり》くらべるもののない日本一《にほんいち》のいい娘《むすめ》になりました。
 こうなると、もうねずみの仲間《なかま》には見《み》わたしたところ、とても娘《むすめ》のお婿《むこ》さんにするような者《もの》はありませんでした。ねずみのおとうさんとおかあさんは、
「うちの娘《むすめ》は日本一《にほんいち》の娘《むすめ》なのだから、何《なん》でも日本
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