て上《あ》げたいものだ。どこもかしこも金銀《きんぎん》やさんごでできていて、お庭《にわ》には一年中《いちねんじゅう》栗《くり》や柿《かき》やいろいろの果物《くだもの》が、取《と》りきれないほどなっていますよ。」
こう言《い》われると猿《さる》はだんだん乗《の》り出《だ》してきました。そしてとうとう木から下《お》りてきて、
「ふん、ほんとうにそんないい所《ところ》なら、わたしも行ってみたいな。」
と言《い》いました。くらげは心《こころ》の中で、「うまくいった。」と思《おも》いながら、
「おいでになるなら、わたしが連《つ》れて行って上《あ》げましょう。」
「だってわたしは泳《およ》げないからなあ。」
「大丈夫《だいじょうぶ》、わたしがおぶっていって上《あ》げますよ。だから、さあ、行きましょう、行きましょう。」
「そうかい。それじゃあ、頼《たの》むよ。」
と、とうとう猿《さる》はくらげの背中《せなか》に乗《の》りました。猿《さる》を背中《せなか》に乗《の》せると、くらげはまたふわりふわり海《うみ》の上を泳《およ》いで、こんどは北《きた》へ北《きた》へと帰《かえ》っていきました。しばらく
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