っぽを出《だ》して、裏口《うらぐち》からついと逃《に》げていきました。
 おじいさんはびっくりして、がっかり腰《こし》をぬかしてしまいました。そして流《なが》しの下のおばあさんの骨《ほね》をかかえて、おいおい泣《な》いていました。
 すると、
「おじいさん、おじいさん、どうしたのです。」
 と言《い》って、これも裏《うら》の山にいる白《しろ》うさぎが入《はい》って来《き》ました。
「ああ、うさぎさんか。よく来《き》ておくれだ。まあ聞《き》いておくれ。ひどい目にあったよ。」
 とおじいさんは言《い》って、これこれこういうわけだとすっかり話《はなし》をしました。うさぎはたいそう気《き》の毒《どく》がって、
「まあ、それはとんだことでしたね。けれどかたきはわたしがきっととって上《あ》げますから、安心《あんしん》していらっしゃい。」
 とたのもしそうに言《い》いました。おじいさんはうれし涙《なみだ》をこぼしながら、
「ああ、どうか頼《たの》みますよ。ほんとうにわたしはくやしくってたまらない。」
 と言《い》いました。
「大丈夫《だいじょうぶ》。あしたはさっそくたぬきを誘《さそ》い出《だ》して、
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