ん。舟《ふね》がこわれてきた。」
とたぬきがびっくりして、大《おお》さわぎをはじめました。
「ああ、沈《しず》む、沈《しず》む、助《たす》けてくれ。」
うさぎはたぬきのあわてる様子《ようす》をおもしろそうにながめながら、
「ざまを見《み》ろ。おばあさんをだまして殺《ころ》して、おじいさんにばばあ汁《じる》を食《く》わせたむくいだ。」
と言《い》いますと、たぬきはもうそんなことはしないから助《たす》けてくれと言《い》って、うさぎをおがみました。そのうちどんどん舟《ふね》は崩《くず》れて、あっぷあっぷいうまもなく、たぬきはとうとう沈《しず》んでしまいました。
底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
1992(平成4)年4月20日第14刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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