集めてやるんじゃ、とか、とても変なことをいい出して来たのよ。木美子、一人でとても心配してたんですけど、そして、なんとかして癒《なお》してあげたいと無理いうの我慢してたんですけど……、それにあんなところを研究室だなんていって電気を引込んだりして又危いことしやしないか、今度そんなことしたら、今まで木美子が叔父様の代りに働いて、どうにか居られたこのビルからも断られやしないか……なんて、とても心配だったの。そうかといってお世話になった叔父様が、頭が変になったからって私一人が勝手なことをするのも嫌だったし……、でも、でもお陰様で病院に入れて頂いて、ほんとに安心しましたわ。頭の具合の悪くなった叔父様に、電気をいじらせて置いたのは、却て不可《いけ》ないことでしたわね、なぜもっと早く病院のこと考えつかなかったかしら……」
 彼女は、やっと安心したように、美しい微笑をもらした、私も、思わず微笑みかえして、
「あの画はどうしました……」
「あれはつい二三ヶ月前に夜店で買ったものなのよ。それが、頭が狂ってから、急に自分で日附など入れたりして珍重がっていられたの……、でも河井さん、あんな六ヶ敷しいこと言われた
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