えたのである。

     最後の審判

「はッははは、だいぶ驚いたようじゃね、無理もない、突然君にこんなことまでいってもとても飲込めんじゃろうからネ……しかしまあわし[#「わし」に傍点]の仕事がぼんやりでもわかってくれたら手伝ってくれたまえよ。わしがあんなバー・オパールなんぞを開いて、客を待っていたのも、結局君のような好青年を見つけたかったからなのじゃ、……しかし認可をとって大っぴらに開業したわけでもなし、そうすれば自然わし[#「わし」に傍点]も五月蝿《うるさ》い世の中に顔を出さんけりゃならん、そればかりか、この研究室が人に知られたひ[#「ひ」に傍点]にゃ一大事じゃからねえ、それで、あんな小さな看板をこっそり出して見たんじゃよ。だが、早速に君のような、一眼で左きき[#「きき」に傍点]を見わけるような観察力の鋭い青年を得て、わし[#「わし」に傍点]は大満足じゃ、是非木美子と共に手伝ってくれたまえ……わし[#「わし」に傍点]の研究ももう一歩のところじゃ。しかし、矢張り何やかやと入費があっての――」
 私は一瞬、さては――と思った。そしてこの不気味な下水道の中の研究室に連れて来られたのは、
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