であった。誠子は矢ッ張り追《つ》いて来ようとはしなかったのだ。
 ――その後『火星の果実』は、どうしたことかまだ一向に市場には出ないようである。或いは志賀健吉が、自分自身の体に、奇怪な実験を加えているのではなかろうか。そして、もしかすると彼は、あの美しい妹とともに想像も出来ぬ『火星人』と化してしまったのではなかろうか。
[#地付き](「ユーモアクラブ」昭和十六年五月号)



底本:「火星の魔術師」国書刊行会
   1993(平成5)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「百万の目撃者」越後屋書房
   1942(昭和17)年発行
初出:「ユーモアクラブ」
   1941(昭和16)年5月
入力:門田裕志
校正:川山隆
2006年12月30日作成
青空文庫作成ファイル:
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