ずしく午睡《ひるね》して聞きごころよきひぐらしのこゑ
ひぐらしのうつくしよしと鳴くなへに野に来て見れば千草花咲く
かへりこぬあたら月日をいたづらに過すは我と山のひぐらし
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虫三首。
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夕かけて桐の木蔭に虫ぞ啼く落ちし一葉《ひとは》やおどろかしけん
ふぢばかま尾花折りそへ帰る野のうしろに啼ける蟋蟀《こほろぎ》のこゑ
露の野に啼くきりぎりすきりきりと管《くだ》巻くもあり機織るもあり
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森田昌房と、大原に鹿を聞きにまかりて。
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声きけばあはれせまりてさ男鹿は角《つの》あるものと思はれぬかな
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上田重女の身まかりて四十九日の忌に。
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消ゆと見て歎きはせしかしら露の玉は蓮《はちす》に結びかへけん
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明治二十八年十一月二十五日、西賀茂の神光院にまかりける時、路の辺の墓を見て。
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