世の夢は涯《はて》し無ければ
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都。
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そなはりし都の人の姿見よところからこそ身はたふとけれ
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耳うとくなりて。
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わが耳のちかからませば世の中の事を聞くにも物思はまし
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梅雨。
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降りつづく皐月の雨の川社《かはやしろ》こころましませ流れもぞする
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近江国に遊びける夏。
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風そよぐ堅田の舟の磯めぐり浪もしづけし夕月もよし
鳰《にほ》の浮く蘆間の水を漕ぎわたり涼しくもあるか真野の釣舟
涼しきは真帆にうけたる比良おろし吹かれてゐざる鳰《にほ》の釣舟
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鷺二首。
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入日さす鳥羽の松原しら雪のふると見るまで鷺の来て寝《ぬ》る
川の洲に鷺のむれ白くゆふだちの濁りにあさる夏の夕暮
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