《くき》伸ぶる見ゆ
桂川波の上《うへ》わたる夕風にひかり吹かれて飛ぶほたるかな
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文久三年長月二十九日、母の身まかりしに、都にありて臨終にもえ遇はざりけり。
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我よりも母は忘れじ旦暮《あけくれ》に乳《ち》にとりつきしをさな心を
ありし世に法のみちかひ聞きしまま来《きた》れと招く道を行きませ
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失題。
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うつせみの世ははかなしや風すらも西は東風《こち》にぞ吹きかはりぬる
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山階宮の御歌会にまかり侍りて、人、世、心、身、忠、孝、信などいふことを。
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苦むるこころの鬼の奴《やつこ》こそうき身はなれぬ影にしありけれ
心にも素直《すなほ》に身をば守らせて人といふ名を朽《くた》さずもがな
いかばかりあらぬ方《かた》にも迷はまし心まかせの世ならましかば
笛吹くも吹かずも我は獅子舞のあとに付くこそ心やすけれ
夏刈《なつがり》の麻の紵《を》がらの軽き身をわ
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