の中に知られぬ宿も菜の花の香を覓《と》めてこそ蝶の飛ぶらめ
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人人と加茂の御社に詣でて。
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露ながら葵かざせばほととぎす折なつかしく神山に啼く
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蝉二首。
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晴れんとて本間《このま》明《あか》れる夕立に降りつぐ蝉のむら時雨かな
寝おびれて啼く声すずし宿る木のしづくや蝉の夢冷しけん
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菖蒲五首。
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三島江や雨のなごりの露の香を袖にうつして引くあやめかな
秣草《まぐさ》には刈りは刈るとも隠《かく》れ沼《ぬ》のあやめは残せ枕|結《ゆ》ふべく
引く袖ににほふ菖蒲の露のかぜ沢の入日にかわかずもがな
あやめ葺く萱《かや》が檐端《のきは》の夕風にちりこそにほへむら雨の露
屋に葺かん折し来ぬればあやめ草にほふ風さへなつかしきかな
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歌の中山に住みける夏。
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夕日かげかがやく色に
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