己はあいつの事をこんなに思ふだらう。どうしようと云ふのだらう。己は自分の身の始末を付けなくてはならないのだつけ。」かう思ふと又気味が悪くなる。そこでその気味悪さを忘れようとしては、又パシエンカの事を思ふ。
こんな風で長い間セルギウスは横になつてゐた。その間始終自分のすぐ死ななくてはならぬ事を思つたり、又パシエンカの事を思つたりしてゐる。そしてどうしてもパシエンカが自分の救の端緒になりさうに思はれるのである。とう/\セルギウスは又眠つた。その時夢に天使が現れて云つた。「パシエンカの所へ往け。そして何をして好いか問へ。お前の罪がどんなもので、お前の救はどこにあるか問へ。」
セルギウスは覚《さ》めた。そして夢に見た事を神の啓示《けいじ》だと思つた。そして気分が晴やかになつて、夢の中の教の通りにしようと決心することが出来た。セルギウスはパシエンカの住んでゐる町を知つてゐる。ここから三百ヱルスト許の所である。そこでその町へ向いて歩き出した。
六
勿論パシエンカはもう疾《と》つくに昔の小娘ではなくなつてゐる。今の名はブラスコヰア・ミハイロフナと云つてゐる。大分年を取つた、乾から
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