コのカーテン。そのあおり、
東の表の欄間はすっかり[#図2、絵「欄間の硝子の形」]形つなぎの硝子。こっちからなかなか風が入る。
  ○線路が見える。
   黄色い羽形の上についた信号燈の色 赤、青(夜、)
○こわれた電燈カサが床の間の隅っこにいつからか置いてある。
○大雨
 急行がとまっている。
「久栄で 白米一俵とりにきよった たき出しでもするじゃあろうて」
 汽車/Kisha いんでてか?
 麦の穂先だけのぞいている、
 こっちの川を越すと店へ漬る、「水ちゅうもんは早うひくのう あんた」
 大雨があがる、
 晴天 碧い空に白い雲、西風爽か
 山の松の幹もパラリとしてすがしく篁の柔かい若青葉がしなやかに瑞々しく重く見える
 多賀さんの下の高みで、家組が出来て、人が働いている 白シャツ姿。

 廻り椽。浅い池 椽のすぐ下まで。
 青い実のついている梅 かさだけ時代もので、胴がよせもののとうろう、
 つつじ
 杉、しゃぼてんの鉢
          ――○――
 かた木の庭木 大名竹 槇 周防の花
 下ぬりのまま五六年たった壁。
 床の間に紫檀の台、上に焼きもの。
 どくろに蛙がとまって
前へ 次へ
全5ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング