いる飾もの
 掛ものは歌集のきれ
  くまもなきかゝ見と見ゆる月影に
   こゝろうつさぬ人もあらしな 云々
○近さァを区長にせよう思っとったら洗濯もんの騒ぎしよったから どうとも云い出せんようになってしもうた
○野菜市場。近さん120[#「120」は縦中横]本の胡瓜を「こりゃわしが皆ひきうけた」と二円何ぼかで買う。小商は、大きいが一本五銭なり。

 よろしゅうあります
 とんびース(飛の魚)
 つかあせ
 やっつかわせ(やっつか)ときこえる
 さア、どんなもんであ[#「あ」に傍点]りましょうかな
 えっと(沢山)切った
 だいしょう 出[#「出」に傍点]来ます(多少の意味)
 生えちょるか
 恐れちょる
 頭がはしる(痛む)

 裏の田の畦づたいに中谷の婆さんが 国旗をかついで多賀さんの当番参詣を終ってかえって来る
「えろう御無礼どすが ここから通しても[#「も」に傍点]らいます」
 多賀子
「あの武の字がちごうちょる」
 武が※[#「武」の「弋」が「戈」、583−8]の由。武運長久と書いてあったが
「武運長久が襷がけならいいんだろ。この頃は白襷がはやるから。こんど出来た字かもしれな
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