治とキャッチボール
○多賀さんの山 が右手
 寺の山 左手
 むこうはAの家。
  赤いみやこに襦袢で一日水づかいしている馬鹿でキリョウよしの女房
○家の並んで岬のように出ている四つの棟[#図1、絵「四つの棟」]棟と棟との間に横タテに雨樋が通っている。
  ○家の中にいてきく雨樋の音、
  ○瓦のメジがころがりこんで樋がつまって溢れる、
  ○兼サアから魚を買う、自転車。うしろに魚かごをつけて。
 前の家、トタン屋根、青く土のかびた土間、
 裏、青みどろの浮いている水たまりを隔ててすぐ小高い線路
  ○三角形の空地 鶏、うさぎの棚。
  ○むこうの森 島田川
○家じゅうに戸棚が三尺の一間の一間ぐらいしかない。板の間に長持、その上に布団や何かごたごたつみ上げてある。さらさ 大きい嫁入紋のついた布団など。
○漬物がうまくつかっていない、うまいつけものをチビチビ食べるような暮しでない。激しくて。
○一つ角をまがって裏へ出ると もうすっかり田舎。(一側の町どおり。)
  朝鮮人の藤色のチマが乾して、ある。
◎雪輪の中に梅と菊との花をすり出した、あとはくもりの小さい硝子の入った障子。
○白キャラ
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