の処へ、クリスマスのおじいちゃんが来ないんだもの。
法王 よしよし可愛い児じゃ。
 若しそう出来たら、買ってやろうね。
子供 ええ、きっとね。
 さようなら、またあしたね。
[#ここから4字下げ]
他の人より長い祝福をうけて去る。
法王は十五許りの青白い体のほそい娘の頭に手を置く。
外で不信心な遊び者がほうけた声で唄って行くのが聞えて来る。
[#ここから5字下げ]
でこうて半間の猟人は
或る日ひょんなこってララ
狐《きつね》つかまえた――
皮はごか――やれ煮て食おか
廻りかねたる智恵助に
憂き目を見せてござるうち
こすい狐はうまうまと
ばかしおおせて猟人を
あちら、こちらと、引き廻す
西へ五里、東へ三里とあゆむうち
でっかい沼についた時
長い旅故疲れたろ
水なと浴びて行きなされ
狐は笑うて云うたげな
雪はコンコン、霰サラサラ
冬の最中《さなか》であった故
衣裳を抜《ぬ》ぐとそのまんま
いてて仕舞《しもう》たとやれそれ
なんまいだあ トララヨウ――
[#ここから4字下げ]
祝福を願って集った人の群はますます数をます。
広場には人のどよめきと共に話す人声が随分とやかましい。
うす闇のたちこ
前へ 次へ
全66ページ中64ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング