主義的支配は円滑にされるばかりである。プロレタリアート・農民を搾取のもとに繋ぎとめようとして、支配階級の行う絶対主義強化の努力は、小学校の国語読本、歴史教科書類から、在郷軍人団、青年団、女子青年団等の反動組織をまで網羅している。忠君愛国主義が教化政策の根底におかれている。
 同じくブルジョア・地主的天皇制[#「天皇制」に×傍点]の糊塗のために行われるものに普通選挙がある。然し、一度でもその資格調査をうけたプロレタリアート・農民は、それが決して大衆の声を反映させるために行われる普通選挙でないことを自覚するであろう。選挙権は満二十五歳以上、一ヵ年以上同一の場所に居住した男子(女子は全然除外)に限られている。実に複雑な制限が労農大衆の革命的代表を阻止する目的でつくられてある。(我々は兵役の義務は十七歳以上から課せられていることを忘れてはならぬ)被選挙権の制限は一層広汎で男子、満三十歳以上、而も立候補のために二千円の保証金を供托しなければならず、得票がその選挙区定員数を以て有効投票数を割った数の十分の一に足りない時は、二千円をそのまま没収するという規則がある。しかも、共産党の被告、共産党支持者
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