義者」が好んで口にする凡ての人々にとっての自由、権利は存在しない。ただ働く者の自由と権利が確保され搾取者が当然抑圧されているのだ。
 我々はそれをソヴェトの憲法について見よう。
 第一条、ロシアは労働者、兵士及び農民代表者より成る諸ソヴェトの共和国たることを宣言す。中央及び地方の全権力は皆ソヴェトに属す。
 第六十四条、ソヴェトの選挙権及び被選挙権は宗教・民族・住所上の要件等の如何に拘らず、ロシア社会主義連邦ソヴェト共和国の左記男女公民にして、選挙当日満十八歳に達するもの之を享有す。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
(イ) 社会に有用なる生産的労働によって生計の資を得る者並びに是等の者を労働に従事せしめるために家内労働に従事するもの、即ち工業・商業・農業その他に従事するあらゆる種類及び性質の労働者及び使用人並びに私的利益のために他人を雇傭せざる農民及びコサック。
(ロ) ソヴェト共和国陸・海軍兵卒。
[#ここで字下げ終わり]
 このソヴェト陸・海赤軍の兵卒が選挙権をもっていることをも、我々は特別注意しなければならぬ。ソヴェト同盟ではプロレタリアート・農民の武装せる前衛として
前へ 次へ
全59ページ中37ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング