若い働き手を戦場に奪って行きつつある。が皮肉にも凶作地の農村からの召集兵は、ろくに食っていないので、勤務演習に堪えないで、帰郷を命ぜられたとブル新聞は報道している位農村の窮乏は深い。

 同じ地球の上の国でありながら、しかも同じ労働者・農民でありながら、何という相違だ。これは全く人間と非人間の相違だ。
 何故ソヴェト同盟にばかりは、そのような社会が存在するのか? 地球六分の一を占めるソヴェト同盟ばかりは、何故そのように一つの断乎として他のブルジョア国と違う世界が建設せられているのであろうか。それはソヴェト同盟こそ、真に労働者・農民が権力を握って支配階級となっている、プロレタリア独裁[#「独裁」に×傍点]の国家だからである。
 天皇[#「天皇」に×傍点]や地主・資本家等の、労働者・農民、勤労大衆の搾取と抑圧の上に安住している者共が支配していないで、働く者が政治権力を持ち、経済、文化のすべてに汎《わた》って支配しているからだ。生産を社会化し、遂には階級というものをなくして行く目標に進んでいる労働者・農民の国だからだ。ここでは働く者が最大の権利と幸福を与えられている。
 日本では、その正反対
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