会主義建設の社会的規律の防衛者・反革命の徒の断罪所であるように、それは、勤労者自身の武装である。日本帝国主義の軍隊は、天皇[#「天皇」に×傍点]の手先、軍閥・将校と強制的に徴集され牛馬の如き非人間的条件の下に働かされる「軍服をきた労働者・農民」でつくられている。が軍隊は、勤労大衆の鎮圧と、帝国主義戦争の武器としての役目を負わされている。それであればこそ、自己の階級の使命に目覚めた労働者・農民は、武器を逆に向けて支配階級を倒そうとして蹶起しているのだ。
ソヴェト同盟の赤軍は、国内に於ける反革命の徒から、社会主義建設を守るのみならず、ソヴェト同盟へ干渉戦争をふっかけようとしている列国帝国主義の攻撃から、社会主義建設を守るのを任務としている。そして、それは単に守るだけではない。国際的規模で、資本主義と社会主義国家の闘争が成熟する日、赤軍は国際プロレタリアートの輝かしい軍隊としての威力を発揮するものだ。赤軍の中には共産党の細胞が形成され党の指導が貫徹している。
赤軍の兵士の生活は、政治的・経済的・文化的の何れにおいても、ツァーの時代の虐待された生活と比べることの出来ぬ位にすぐれている。ツァーの軍隊(それは日本[#「日本」に×傍点]の軍隊にも云えることだ)の下劣な体刑、重い背嚢を脊負って忠誠[#「忠誠」に×傍点]のしるしとして幾時間も捧げ銃をしていることは、どこにも見られないことだ。赤軍兵士の生活について、さきに引用した一英国人の手記を紹介しよう。
「ロシアに於ける多くの愉快な経験の中で、私は、カザンに於ける赤軍の兵営の訪問のことを憶い起す。私は、初め大した興味は持っていなかった。兵営は広々として、清潔であった。兵士達は充分のものを着ていた。そして食物はうまそうであり、又分量豊かでもあった――士官達が私に談《はな》したように、ポーランドの軍隊で指定されているよりも、数百カロリー優っておった。兵士たちのために与えられている社交生活は、退屈を訴える余地を少しも残さなかった。というのは、壁に貼った図表に従って、毎晩劇や、キネマや、演奏会が彼等のために開催せられておったからである。一般的な政治的雰囲気は、読書室の『レーニンの隅』で供給せられた。一つの部屋では素人劇団が稽古をしておった」
「吾々は、他のどんな軍隊においてもこういう情景を、想像することも出来ない。然しそれは、この革命的軍隊の全精神及び組織の典型的なものであった。他の軍隊は政治を一切駆逐している。然しこの軍隊は、良き兵士は、彼が奉仕している目的を、意識していなければならぬという信念を基礎としているのだ。彼は、ただに国の領土の防衛者たるばかりでなく、一個の世界的理想の従僕なのだ。赤軍は、その政治教育に関する教程をもっている。そしてすべての新兵は、その小銃を使いこなすのと同じように、この教程を充分に理解することを要求せられる」
ソヴェト同盟の勤労大衆は英雄的な建設力をもって、第一次五ヵ年計画を四年で完成し、今や第二次五ヵ年計画に着手している。一九二九年、五ヵ年計画が始まった当初から、その驚くべき生産拡張のプランと、更に驚嘆すべきその実現について多くの報告をわれわれはうけている。五ヵ年計画によってソヴェト同盟は失業者を一人もなくし全生産を或る部内では四〇パーセント―七〇パーセント増大させた。世界恐慌が停止するどころか進展しつつあるのに反して、ソヴェト同盟の社会主義建設は、巨大な成果を収めつつある。一九三二年上半期の成果は次の統計を示している。
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本年度 前年度
国有農場 一、二〇〇 五〇〇
集団農場 六、七〇〇 五、六〇〇
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動力四四パーセント増、石炭二七パーセント増、鋼鉄一一パーセント増、機械三六パーセント増(トラクター七五パーセント増を含む)そして、ブルジョア新聞ですら、「五ヵ年計画以来投資された巨額の資金は今や漸次利益をあげつつある」(八月十日朝日新聞)と報道させざるを得ないのだ。
之に反して、列国帝国主義においては、恐慌の進展に伴って、階級闘争の激化、一連の革命的昂揚、極度の大衆窮乏――反ソ戦争のための準備がみられる。
だが、驚くべきは、尨大な統計の字面ではない。そのことごとくがソヴェト同盟では真に勤労者の幸福のため、階級のない社会招来のためになされているのだ。ソヴェト同盟でドニェプル発電所が完成したという一事は決してただ数千万キロワット時の電力増加を意味するだけのものではない。数千万キロワット時の電力の増大、それに応じて工場が電化し、農村の電化とラジオ網が拡大するということは、ソヴェト同盟ではそれだけ早く真に自由な階級のない社会が来る、経済的基礎の昂揚を意味するものなのである。
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