五ヵ年計画の政治的内容について、本年始めの第十七回党会議は次の如く声明した。
「資本主義的要求と階級一般の最後的清算、階級的差別と搾取を生み出すところの諸原因の完全な廃棄、経済及び人間の意識内の資本主義的残滓の克服、搾取なき社会主義社会の意識的・積極的建設者への全勤労者の転化」地球の六分の一のプロレタリアートの国がプロレタリア独裁の強化によって階級なき社会への巨歩を踏み出しているのをみるのは我々の限りない悦びである。
が、我々は、この労働者・農民の祖国を守らねばならぬ。日本のブルジョア・地主的天皇[#「天皇」に×傍点]を先駆として、列国の帝国主義がその毒爪を我等のソヴェト同盟と中国ソヴェトに向け、干渉戦争の危機が愈々《いよいよ》迫りつつある今日、我々は更に新なる決意を以て、我等の祖国を守らねばならぬ。反ソ干渉戦争反対、ソヴェト同盟、中国ソヴェトを守れ、と云う叫びと行動は来るべき革命第十五週[#「週」はママ]年を前にして、全世界のプロレタリアートの間にたかまりつつある。
曾て、レーニンは書いた。「今や歴史は、他のいかなる国のプロレタリアートの総ての当面の任務のうち[#「当面の任務のうち」に傍点]、最も革命的な任務[#「最も革命的な任務」に傍点]を、吾々の前に提出した。この任務の実現、即ち、ひとりヨーロッパの反動のみならず、更に又(今や、吾々はこう云い得るのだ)アジア反動の最強の支柱の粉砕は、ロシア・プロレタリアートを国際革命的プロレタリアートの前衛となすであろう」(何をなすべきか)既にロシアの党は美事に、このことを示し得た。
今や、第二の革命と戦争の時代において、日本プロレタリアートの前におかれている任務の重大さは、まさに、かつてのロシア・プロレタリアートの任務にも匹敵するほどのものだ。我々の前には、世界帝国主義列強における最も反動的な城塞がそびえている。我々労働者・農民も、この城塞を不屈の闘争で攻め落し、国際的に重き歴史的任務に答えねばならぬ。
我々、日本の労働者・農民は、アジアにおける最も野蛮な支配体制、自国ブルジョア・地主的天皇制[#「天皇制」に×傍点]を打倒し、ソヴェト日本を建設するための闘争こそ、何よりも我等の祖国を守り、世界革命[#「革命」に×傍点]の勝利のための道であることを知っている。[#地付き]〔一九三二年十二月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
1952(昭和27)年8月発行
初出:「拾銭文庫」第一輯、日本プロレタリア文化連盟
1932(昭和7)年12月10日発行
※「×」傍点は底本、もしくは底本の親本で伏せ字を起こした文字。
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
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