上、妊娠すれば、出産前後四ヵ月の給料つき休暇がとれ、支度金が月給の半分位貰える。産院は無料である。各区に幼稚園があり、工場附属の托児所では清潔な医者と※[#「女+保」、読みは「ほ」、493−14]母が子供等の世話をしてくれる。そして、ソヴェト同盟のあらゆる勤労者は年に一ヵ月ずつ休暇をとり、その期間は、景色のよい海岸や山の「休みの家」へ休養に出かける。産業別の各組合が、それらの「休みの家」を持っていて、賄つきで組合員を休ませるのであるが、どの「休みの家」も実に立派なものだ。昔はロシアの勤労大衆を「黒い連中」と呼んで搾っていた皇帝や大ブルジョア・大地主等が、贅沢三昧をつくして建てた離宮、別荘などが、今日ではソヴェト同盟の勤労大衆のためにだけ開放され、利用されている。
ソヴェトへ派遣されたイギリスの労働者は、向うの機械工場の労働時間と賃銀を次のように報告している。(我々のとこでも、今ソヴェトへ労働者・農民が出かけて、ジカに向うの社会主義建設の進展の模様をみ、日ソ労働者大衆の結合をかたくすることが提議されて、実行に移されつつあるが、支配階級はそれを妨害し、弾圧している)
「つぎの表をみると、生産の成功によって、賃金がめだってあがったということがわかる。
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年度 最低賃銀(一ルーブルは大体日本の一円)
一九二七年 八五ルーブル
一九二八年 九六 同
一九二九年 一一〇 同
一九三〇年 一二七 同
一九三一年(八月)一三一 同
同 (九月)一四〇 同
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昨年には累進的出来高払い制がとり入れられた。次の収入表は現に職についている労働者からたしかめたものだ。
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絞盤旋盤工(最低一八〇)
承軸旋盤工(同…………)
所得は一ヵ月三百ルーブルから百五ルーブル
仕上工(最低一六〇)
組立工(最低一八〇)
所得一ヵ月三百五十ルーブル
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その他鎖孔工、研工、製粉工、捲き手はおなじ割合で監督係、製図工、および監察員には少しばかりだが増俸がある。
半熟練工の平均給料は一ヵ月百四十ルーブルである。労働時間は一日七時間だ。時間外労働には倍額を支払われる。作業服は無料であたえられるし、無料の社会保険にも加入出来る。この工場でも他と同様毎年給料つきの二週間の休暇
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