有は満州における日本帝国主義の軍需工業原料生産地として、もくろまれたばかりではない。ソヴェト同盟侵略のための屈強な軍事上の足場としてつかまれたものだ。匪賊(実は日本帝国主義侵略に対して奮起せる中国のプロレタリアート・農民の武装蜂起)討伐の名をかりて日本帝国主義がその兵力をたゆみない陰険さで、ソヴェト同盟の国境に近く近くと展開させつつあることは、ブルジョア新聞の記事によってさえ明かである。
今、このブルジョア地主的政府[#「政府」に×傍点]は、日本資本主義の行き詰りを国内においては労農大衆への苛酷な搾取と支配の強化、又一方、殖民地再分割の帝国主義戦争、特に反ソヴェト干渉の戦争によって切り抜けようとしている。
だが、列国帝国主義の憎悪のなかで、革命第十五週[#「週」はママ]年を迎えるソヴェト同盟とはいかなる国であるか?
我々、労働者・農民は「ソヴェト同盟を守れ」というスローガンを掲げて闘っている。吾々は何故、ソヴェト同盟を労働者・農民の「祖国」と呼んでいるのか。それを正しく知るためには、ソヴェト同盟の国家を知り、それが日本のブルジョア・地主的天皇制[#「天皇制」に×傍点]の国と、どんなに根本的な相違があるかを充分に知らなければならぬ。
一、現在のソ同盟の労働者・農民の生活
一つの国が、どんな国かを知るためには、国の生産にたずさわっている労働者・農民の生活を知ることが一番近道だ。
現在、資本主義世界には四千万人に及ぶ失業者が溢れている。ソヴェト同盟だけには一人の失業者もいない。それどころか五ヵ年計画の完成によって総ての勤労者の俸給は、一九一三年に比べると三倍になった。資本主義世界の農業恐慌は、万年景気の国といわれたアメリカをも襲い、どの国でも播種面は縮小し、農産物の生産額は減り、農民の生活は益々苦しいものになってきている。ソヴェト同盟だけは別である。農村の六割は集団農場化され、農業は最新式の機械、トラクターやコンバインによって行われ、集団農場クラブでは無料のラジオをきき、映画を見物出来るようになってきた。工場内の作業は電化され、労働時間は給料がのぼったが平均七時間六分に短縮された。十八歳以下の青年労働者は一日六時間労働で、十六歳以下の男女労働者は一日四時間の労働だ。ソヴェト同盟だけ婦人労働者は同一技術に対して男の労働者と同額の賃金をとる。その
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