九年制義務教育の国家による保障さえ、実際には一つも行われていないとき、いまの社会事情のままでいわれる離婚の自由は、欺瞞的にきこえる。父親である男として、妻を離婚したあと、母を失った子供たちの境遇について心痛しないものはない。より人間らしく生きる道としてひらかれた一つの門から、より多くの売春婦と浮浪児を生み出すことを、わたしたちの社会的良心は肯定しない。この現実のままでは空文に終る結婚と離婚の自由を、真実に社会的責任に裏づけられたものとするために、私たちが試みるすべての生活改善の努力を、阻止しようとしたり、抑えようとしたりする権力をも、私たちは肯定しないのである。[#地付き]〔一九四八年四月〕
底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「女性の歴史」
1948(昭和23)年4月
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
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