ゆかなければならない。このことこそ、憲法にいわれているとおり、すべての人が良心に立って行動する自由をもっている、その具体的な途である。
結婚の自由ということを考えるとき、私たちは、今日の日本の働く婦人の現実の条件から目をそらすことが出来ない。離婚の自由をいうとき、わたしたちは、婦人が一本立ちでやってゆける社会条件を建設してゆく努力ぬきには、考えられない。そして、これらすべては、ひっくるめて全日本の働いて生きなければならない数千万の男女の、人民としての生活の条件の改善にかかって来るのである。
自由ということは、何でもしていい、ということを意味しない。結婚の自由ということは、人間としてのぞんでいる結婚を、本人たち以外のものの意志で邪魔されないでよい、ということであると同時に、いやな結婚を、はたの事情でさせられないでよい、ということである。放埒をしてよい、のではなくて、結婚という形式における売淫は、人間らしくないこととして拒絶する権利があることを意味している。
結婚の本質をこうしてより人間らしい条件において扱い直そうとするとき、その結婚の清純を守る条件として、離婚の自由がもち出されて来
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