った人は実によくわかっている。だけれども、所によっては憲法がかわろうが民法がかわろうが、男は男だという「見識」を強くもっていて、やはり命令者としての感情を捨てきらない若い男子たちもある。中には折角組合が自分たち働く者の全体としての条件の一つとしてかちとった婦人の生理休暇について、婦人たちを恥かしがらせるような批評をする人さえもある。実際今日組合は、婦人のために、つまり未来の妻と母のために、女性を保護する大切な生理休暇をかちとったのに、働いている仲間である男の人があまり若い娘を恥かしめる眼でこの問題を扱うために、婦人たちはちっともその休暇を利用できずにいるということさえもある。婦人が男と同じ労働、同じ時間に対して同じ賃金をとらなければならないということは、これは婦人のためばかりではなく男のためでもある。婦人の安い労働賃金、青少年の安い労働賃金、それはいつも成年男子の賃金の安定を脅かして来た。失業の予備軍となっている。しかしそういう点で共通の幸福を守ること、その協力の意味を理解しない男の人たちは、組合が要求するから仕方がないようなものの、女のくせに生意気だという感情を捨てきっていない。組合
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