の中で婦人部と青年部とはよく調和して活動できるけれども、大人の男子組合員とは役員の選出の点でも、議題を出す分量でも、いろいろなことで女の人がまだまだ不満をもった状態におかれているところがある。そして、そういう職場の気分は巧に傭主につかまれ、利用され、働くものの一致を裂かれ、要求を力よわいものにしてしまう。
学校でも共学をはじめた。そういう大学がいくつかある。その学生たちと話してみると、やはりそこでもまだ男女は十分共学されていない。大学などでは一種のアカデミックな社交性というようなもので綺麗ごとに共学されていて、たとえばアメリカの大学の社会科の女子学生と男子学生とが、夏期休暇中の共同研究として、浮浪者の生活調査をやるとか、女子の失業と売淫生活に堕ちてゆく過程の調査だとか、そういう現実の共同作業をするところまではいっていない。会合で討論して、代表を選出し、共同研究会をもつくらいまでのところしかいっていない。ほんとうにむき出しに自分たちを示すような勉強も調査もスポーツもされない窮屈さがのこっている。
昨日あたりから上野の美術館で婦人画家ばかりの展覧会が催おされている。芸術の世界で、婦人ば
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