無題(二)
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)紐育《ニューヨーク》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)「|瑠璃の浜辺《コート・ダジュール》」
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)色絨壇[#「壇」に「ママ」の注記]のような
−−
十一月十九日
North Carolina と South Carolina との間を通る。
砂の多い、白く光る地面には、粗毛のような薄茶色の草が一杯に生えて、晩秋の日を吸いながら輝く色々の樹木の間には、Sandstorm をふせぐための、腰の高い木造のバラックが、ポツリポツリ並んで居る。
赤みを帯びた卵色の地の色と、常緑樹と、軽い水色の空は、風景にふしぎな愛しみと暖かみを与える。とりのこされた綿の実が、白く見える耕地からゆるやかな起伏をもって延びて居る、色彩の多い遠景、近くに見ると、色絨壇[#「壇」に「ママ」の注記]のような樹々の色も、遠くなるにつれて、混合した、一種の雑色となって、澄んだ空の下に横わって居る。
赤や茶や黄や、緑や、其等の色は、「褪[#「褪」に「
次へ
全5ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング