歯の間から細いふるえた声で、
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
詩「ローズローズ、あなた外姉さまはないんモンネ」
[#ここで字下げ終わり]
あとは何とも云わないで大きい目を見はった美くしい人の口からもれる声をまって居ます。
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ロ「そうでしょう、それともそうじゃあないの。何? どうしたの、云って頂戴」
[#ここで字下げ終わり]
自分が待ちもうけて居た答よりあんまりあっけない答を聞いてがっかりした様に又目をつぶって胸に若い乙女の柔さ温さを包んだ胸に人の涙を誘うほど美くしい詩の書ける貴い頭をうずめました。しばらくの間そのまんま、「アラビヤン・ナイト」の手をさわるとすぐ動けな[#「けな」に「(ママ)」の注記]る石にさわった人の様に身じろぎもしないで美くしい絵の中の人の様にして居ました。少年の顔は段々紅さして涙にうるんで居た眼は新らしい望を一っぱいにためた様にかがやきました。かすかな美くしい声は云いました。
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詩「ネエ、姉さま人間は一度は死ぬんですネ、私が年をとったらいやでもおうでも別れて死ん
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