妙な子
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)自《うぬ》ぼれ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)恐っ[#「恐っ」に「(ママ)」の注記]た時に
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私は母からも又学課だけを教えて呉れる先生と云う人からも「妙な子」、「そだてにくいお子さん」と云われて居る。自分では何にも変なお子さんでも妙な子でもないつもりでもはたからそうして呉れるんでよけいにそうなったのかも知れない。私は母から見れば妙な子と云われてもしかたがない、って云う事は自《うぬ》ぼれのつよい自分でも知って居る。それは母って云う人は一体理性のかった人で(但し恐っ[#「恐っ」に「(ママ)」の注記]た時にどなり出すのはくせだけれど)可愛そうで泣きたいように私の思う事でも世の中にはたんとあるこったものと云う人であるに引きかえ、私は泣きたければすぐ泣く、笑いたければすぐ笑う。私の感情はすぐに顔や口振にあらわれて来る。だから母から見た私は妙な子なんである。人達の笑いながらしゃべって居る時に私は何かよんだものの中の主人公なんかを思って別に気もつかず悪気もなくって考えこんで居る
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