未亡人への返事
――未亡人はどう生きればよいか――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四九年二月〕
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 私たちが不幸から解放され、苦しみから生き抜いていく方法は、実に幾種類もあります。ちょうど私たち一人一人の顔つきも、声も、心もちも違うように――。
 けれども、戦争と、それからひきおこされた不幸は、千差万別のあらわれはもっていても、根本はただ一つの原因と結論の上に立っています。それは戦争が人類的罪悪であるということと、その戦争は、すべての人の努力によって、これから又くりかえされることのないようにしなければならないということです。夫を失った沢山の妻たち、母たちが、その悲惨をくぐり抜けて、自分と子供の生活を守り、うちたてていこうとしている努力の姿にも、深い必要と、よって来る社会的理由があります。再婚するしないということ、それは本当にそれぞれの人の心の自然な求めに従って判断され、きめられていいことです。
 ですから、お手紙のような心もちの若い方々が新しい結婚生活に入っていかれることを誰
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