がとがめましょう。
実際、問題は、再婚のよしあしよりも、再婚を自然のこととして自分にも人にも認めながら、日本の家庭についての考え方がまだ古くて、子供をもっている女の人の再婚がむずかしいというところに、再婚しまいとしている人の切ない問題があるのではないでしょうか。再婚しないと決心した人の心の中に入って聞いてみれば、子供をつれた婦人の再婚のむずかしさを、しんから感じている結果でしょう。子供が三人ある人、そのために生活の負担が非常に重い人、よしんばその人にはひかれる心があったにしろ、三人の子供と共に、その人を妻に出来るという男の経済能力がどこにあるのでしょうか。男の経済能力も、戦争によって、壊されています。
再婚することは出来たとしても、今日の実際では、妻が何かの働きで、経済的にも協力してゆかなければならないでしょう。
お手紙は感情を主として披瀝されていて、現実の事情はわかりかねましたが、時がたつにつれて、新しい愛を求める心持があることは誰にも思いやられることだと思います。そして戦争からうけた傷をいやされて、新しい生活の出発をすることの出来た人が一人でも多いことこそ、私たちのよろこびで
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