戯曲などがあらわれた。新日本文学会は勤労者文学選集二冊、新日本詩集三冊、新しい小説集三冊を刊行することができた。
 一九四八年十二月に東條をはじめとする戦争首謀者たちの処刑が行われ、その犠牲において児玉誉士夫のようなファシズム文化の運動に関係ある日本のファシスト戦犯が大量に無罪釈放されて民間にまぎれこんだ。このことは、日本民主化のために重大な害悪となっている。
 一九四九年の三月、保守陣営が絶対多数をしめてからの日本は、基本的人権に関するあらゆる面で人民の側からポツダム宣言の忠実な履行を、あらためて要求しなければならない状態になった。
 戦争挑発に反対して平和を守ろうとする闘いと民族の独立、日本が軍事基地化されることに反対する男女の声は、文化・学問の自由を守る要求とともに科学者文学者のひろい層の発言となった。文学者の平和を守るための動きは、労働者階級の平和擁護の運動と結合してすすめられるようになりつつある。作品としては肉体派の文学を書いている作家たちも、平和と全面講和の要求にはその名をつらねている。
 文学の分野に出場して来た婦人の層は一九四六年以来、非常に立体的に広範囲になってきた。
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