んど少女たちであり、農村の婦人の一生は、牛一匹よりもはかなく評価されてさえもいる。プロレタリア文学に、婦人の創造力が発揮され、そのような婦人の声が階級としての成長にかえってゆくためには、婦人独特の条件に即した何かの方法が必要であった。プロレタリア作家同盟の婦人委員会は、このような必然から生まれた。植民地大衆の生活と文学のために植民地委員会を、婦人とともに搾取されている青少年大衆のために青少年委員会を。過去の文学にはいろいろの流派――ロマンティシズム、自然主義、人道主義、耽美派などが現われた。けれどもプロレタリア文学運動は、これらの半ば封建的な要素をふくんでいる日本のブルジョア文学の流派の一つではない。同じように封建的な影をもちながらも、資本主義社会の中から生まれでて、日本の封建性と資本主義の克服、階級としてのプロレタリアートの勝利をめざす世界観にたった文学の確立をめざしたのであった。
 横光利一、川端康成などによって組織された「新感覚派」は、過去の文学にあきたらないけれども、プロレタリア文学はうけ入れない人々のグループであった。作品は表現派や未来派の手法によって試みられたが、このグルー
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