論調査を動員し、旧式な反民主的な婦人運動者たちまでを動員した政府は、世界平和大会やアジア婦人大会への代表の旅券は与えないで、おかいどり[#「おかいどり」に傍点]を着た田中絹代のために許可を与えたり、陸上競技の宮下美代子の国際オリンピック出場までと、人民の国際的協力の焦点をそらしている。

 アジアの平和は、とりもなおさず、世界平和の問題であることは、中華人民共和国の宣言で云われているとおりである。そのアジアにおける日本人民の立場は、重大な人類的責任にたたされている。日本の婦人は、祖国と自分たちの日々をこれ以上の破滅から救うために、平和を守ろうと努力しているアジア、ヨーロッパ、アメリカのすべての婦人たちと団結し、具体的に働きだしてゆかなければならない。
 日本のわたしたちは、全面講和によって世界の全面に対して平和日本の人民であろうとしている誠意を表現し、それを貫徹してゆかなければならない。戦時中日本の政府は、侵略主義の本質を、見ための珍しい美しさや異国情緒でカムフラージュしようとして日本独特[#「日本独特」に傍点]の風俗、行事のグラフを盛に輸出した。アジアにおけるきょうの日本の、まじめな
前へ 次へ
全6ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング