婦人デーとひな祭
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)東区《イースト・サイド》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)社会[#「社会」に傍点]という字がついていると
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 婦人デーといえば、三月八日と誰でも知っていることではあるが、そのおこりは、どういうところからはじまったのだろう。
 婦人デーのきっかけとなった事件は、一九〇四年三月八日ニューヨーク市の東区《イースト・サイド》の社会主義婦人同盟の人たちが、婦人参政権を要求して立ったことだった。資本主義の国々では、ニューヨークでも、ロンドンでも、イースト・サイドといえば、西区《ウエスト・サイド》の上流区域とはちがって労働者、外国移民、猶太《ユダヤ》人などの住む、より貧しいより生活の苦しい区画とされている。東京で麹町と江東地区との生活にちがいがあるとおりである。
 一九一〇年といえば、日本の明治四十三年、いわゆる「大逆事件」で幸徳秋水以下三十余名の人々が検挙され、ファーブルの『昆虫の社会』という本まで社会[#「社会」に傍点]という字がついていると云って発禁されるような、日
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