のお金と自分ひとりの部屋を」「自由ある習慣と、自分の思うことをそのまま書く勇気とを得るならば」と、先ず経済的安定、時間、世俗的な慣習の放棄、精神の真の自立性とを得て百年も経てば、婦人も初めて文学らしい文学を創るであろうと予想している。ジョウジ・エリオット、ジェーン・オースティン、マンスフィールドその他の作家を近い先輩としてもっているイギリスで、ウルフが婦人の生活と文学の問題を考えたとき、希望するのが、このような条件であるということは、現代のヨーロッパ「文明」が婦人にとってなおどういうものであるかということを深刻に考えさせる。ウルフは第一次欧州大戦後、イギリスの文学にシュール・リアリズムを導き入れた芸術至上主義の立場の作家である。彼女の小説は、いつも現実の時間と空間とを飛躍した潜在意識の世界に取材された。そのように現実から翔び立つ作家が、その反面で、きわめて実際的に、イギリス中流の習慣的観念にとどまって、文学は生活安定と教養ある閑暇とから育つと語っていることは注目をひかれる。彼女はその証拠として最近百年間におけるイギリスの大詩人たち十二人のうち、三人だけが大学出でなかった、ことをあげてい
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