くるしむ勤労階級の婦人を、男への隷属から解放するためには、その形こそちがえ男も女とともに、その束縛の下に挫がれている資本主義社会の矛盾とその悪い伝習とをとりのぞかなければならないとする社会運動の努力に若い男女の熱意が傾けられた。そのような進歩への努力の道すじにおいてさえも、日本独特な過去の伝統が微妙に作用した。新しい世代の性道徳が建設されるのは、つまるところ新しい社会の招来以外にない。そのために生じる闘争の必要のためには婦人の貞操は一箇の私なものとして扱われるべきではなく、大きい階級の利害の下に歩み踰えられて行かなければならないものという考えかたが、一部の左翼的男女の間に生じた。本来、両性のいきさつを、よりひろくより健全な社会共同・男女連帯の責任の上にうち立てて行こうとしている筈の動きの間に、林房雄その他によって、ソヴェト同盟の革命当時、ブルジョア貞操観念に機械的に反撥したコロンタイの「赤い恋」「偉大な恋」などが紹介され宣伝された。コロンタイの性関係に対する解釈は、既に当時ソヴェト同盟では批判され著書も売られていなかった。それだのに、日本の当時に、一時期にしろそういう誤った考えかたがつ
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