浪記」のなかには、木賃宿の住居、露店のあきない、薬品店での働き、セルロイド女工としての生活、牛肉屋の女中、女給、転々とする生活からの呼吸が、或る時は「地球よパンパンとまっぷたつに割れてしまえ――と呶鳴ったところで私は一匹の烏猫」という表現となり、或るところでは、「私は男にとても甘い女です。そんな言葉を聞くとサメザメと涙をこぼして、では街に出ましょうか。」云々という調子をもって語られている。「いったい何時の日には、私が何千円、何百円、何拾円、たった一人のお母さんに送ってあげる事が出来るのだろうか、私を可愛がって下さる行商をしてお母さんを養っている気の毒なお義父さんを慰さめてあげることが出来るのだろうか! 男に放浪し職業に放浪する私。」
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空と風と
河と樹と
みんな秋の種子
流れて 飛んで
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「うんとお金持ちになりますよ、人はもうおそろしくて信じられないから、一人でうんと身を粉にして働きます」
「放浪記」は、その後数年間に発表された夥しい作品の素材的な貯蔵所でもあるし、作家として作品の世界に盛ってゆくその人としての雰囲気の諸要素、気分的特徴も明
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