、婦人の組合活動家たちの生活、そのこころもちにしろ、自分たちの独立を確保しようとして進んでゆく者の心持や行為の雄々しさの面で描くことがプロレタリア文学において積極的とされた。勤労する女の生活の進路も、勤労する男たちとその方向を一つものとして解放をめざした。男と女との間におこる様々の愛情の問題も、この時代には伝統的な重荷とのたたかいの形、封建の否定としてとりあげられていたのであった。婦人の解放は男とともに勤労階級としての解放なしには不可能であるという理解に立って、歩み出している女の像が文学にうつされて来た。その歩みの中では、男女の愛情の内容もおのずから新生面をもって拡げられて来た。
 この動く部分、積極な生活の態度をとりあげて文学に描き出して行こうとする努力は、決してたやすいことではなかったから、その間には文学作品として類型に堕した場合もあり、感情の一面だけが誇示されたような例も生じたのは事実であった。
 一人の婦人作家として、この作家がそのような当時の傾向に反撥して、自分こそは、現実にあるとおりの勤労者の日常生活を描こうと執した心持は、この作家の気質と照し合わせて考えたとき、極めて理解
前へ 次へ
全369ページ中224ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング