りに芝居を見物する。舞台の上では、心にない結婚をした女が、永年の後昔の愛人にめぐり合い、蒼白となって地獄と叫んで卒倒していた。「私も地獄と叫んで卒倒する女になって見たい」自嘲と苦しみの漲った作品である。
この作品で力づよく描き出された混乱と自嘲とは、作者の身も心も全くその渦中にあっての自嘲である。過去にかかわりある男の誰かにたのんで金を借りるということと、そのことですぐ体を与えなければならないということとは、どうしてそんなに疑問のないぴったり一つこととして女である「私」に見られ実行されているのだろうか。苦しみ嘲りながら作者の心に、当然なその疑問は人間性の真実の問題として起っていない。男への手紙に語られている無産の女という考えかたや生活への態度も、もし無産の女が生きてゆくために、体を売るのはやむを得ないと云えるものならば、無産階級の解放運動の必然はあり得ない。いかにも初期の無産階級文学らしい素朴な特色を示していると思う。
「嘲る」の後に「生活」「新婚」等が書かれており、それらの作品では時代の動きにつれて同棲の対手が変ったこととともに、女主人公の生活が、虚無的な混乱の中から次第に引出され
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