での婦人作家の文学にない世界を展開した。この小説は「私」と一人称でかかれている。「過去に三人の男を知り、三人の男を何の悶えもなしにすてて来た女」としての自分が、現在の男との無為な生活で金につまって来ると、男はその女主人公である女と過去にかかわりがあった男たちの「誰かに頼んで少しつくって来る」ことを女にすすめる。女は「無能な夫との生活を守るために私は街に出て、こんなことまでして」一晩とまって一円もらって来る。かえって来て男に金は? ときかれ「電車賃だけですのよ」と答える。その中流めかしい言葉づかいは、その男女の生きかたの異常さと対照して読者の心持を妙にさせずにはいない。女は泊って来た男のところへ手紙をかきかける。「こういう世の中で無産の女性が、自分の生存を救うため唯一つのものを投げるのはやむを得ない事です。貴方にして真実な無産者の良心があるならば、それを認めなければならない筈です」だがどうせその男は金持ののらくら息子だ。三十円なんかよこすものか。女はその男の部屋へ訪ねてゆき、来あわせたアナーキスト仲間と丸の内の或る会社の寄附デーへ出かけて行って、五円ずつのところを十円とって来る。そのかえ
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