階級が、明治の日本のブルジョアジーと転身した。この事情は、市民社会を経て近代ブルジョアジーを成長させて来たヨーロッパ諸国の民衆の歴史とは、全く異った性格をもって、今日までの日本の社会と婦人の立場、働くものの立場に影響して来ているのである。
ところで、先にふれた通り山川菊栄等が、大戦を転機として婦人問題の中心は参政権問題ではなくて搾取するものと搾取されるものと対立した階級社会における勤労階級として婦人労働母性保護の問題にうつったということを世界の趨勢として告げているのに、一方では、らいてうなどを中心とする中流婦人たちが参政運動に歩み出して来た当時の日本の現実にあらわれた二つの潮流は、注目すべき現象であった。
「あらゆる人間に人間らしい生活を」望むという大戦後の進歩的な世界思潮は、歴史的な凸凹の甚しいのが特色である日本社会の上にうちよせて来たとき、あらゆる凹みにそれぞれの特徴をもつ溜り水として残った。その一つの溜り水が、らいてうなどによって示された中流層の要求としての普選、婦選を醸し出し、勤労階級というものの自覚に到達した有識人・労働者群のところでは、勤労者たる自分たちの運命を改善しよう
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