生活への自覚に多くの刺戟となり、成長の足場ともなったが『青鞜』をかこむ若い婦人たちは、自分たちを新社会へのチャンピオンとして感じながら、目のつけどころはその人々の直接周囲の習俗、恋愛、結婚、家庭の問題の革命に向けられ、彼女たちの目の前には少し遠くあった勤労階級や農村婦人の一生、そこで挫かれてふみつけられた当時五百三十万人の女としての悲しい無言の訴えを、自分たちの声につづくものとして感じてはいなかった。
第一次大戦終結の前後、ロシアの人民が悪夢のようなツァールの政権をとりのぞいて、世界にはじめて社会主義の社会を出発させ、他の多くの国々でも封建の要素のつよい王権を排除した。世界の理性は個人の幸不幸もその社会全体の幸不幸と直接関係していることを学んだ。これまで男対女の問題として個人生活の枠内で見られて来ていた軋轢、相剋、成長の欲望が、この時代に入ると所謂男女問題の域を脱して、はっきり帝国主義の時代にまで進んで来た資本主義社会の矛盾を生じる課題として、その社会的な動機原因にふれてとりあげられるようになって来た。そして、社会の動力として日々の社会的な労働に従っている人口の九割以上をしめる勤労男
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