ら靠れて、本質においての受け身なところや、又愛とひとくちに云い表わしているその愛の質を見わける力はまだ十分になかったのではなかろうか。
 男と女とが偶然向いあった世界の中でだけ男と女との問題が扱われていた当時の限界は、おのずからこの婦人作家の上にも照りかえした。社会一般としてその限界がうちひろげられるには時代が反動的であった。その反動の半面に爛漫と咲き出したネオ・ロマンティシズムの芸術は、「あきらめ」に窺えるこの婦人作家の所謂女学生っぽい潔癖さ、追究心を育てるよりも、遙に容易に華やかに、彼女のうちに伝統となっている頽廃の一面を開化させた。芸術家として、作家自身余りすらすらとその道を歩いた。作者をめぐる生活と文学の情緒の渦は、ロマンティックな色を配合しながら、段々高まるよりは低まって行った。
「あなたなどと一緒になって、つまらなく自分の価値を世間からおとしめられるよりは、独身で、一本立ちで、可愛がるものは蔭で可愛がって、表面は一人で働いている方が、どんなに理想だかしれやしません」「女の心を脆く惹きつけることを知っていなくちゃ、女に養わせることは出来ませんよ。あれも男の技術ですもの。」
 
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