婦人と文学の話
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)帝国[#「帝国」に×傍点、伏字を起こした文字]主義
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 われわれの『文学新聞』が、今度「婦人欄」を特別に設け、そこへ面白いためになる婦人と文学とに関する種々な記事を精力的にのせることになったのは、実にうれしい。プロレタリア文学に、女のプロレタリア文学、男のプロレタリア文学というような区別があるはずがない。プロレタリア・農民としての女、男の全生活が階級としての芸術的表現をとおして、プロレタリア文学のなかにこめられているのだ。
 けれども、現実の問題として見るとき、日本におけるプロレタリア・農民の婦人のこまごまとした本気な日常闘争の経験は、果して十分日本のプロレタリア文学の中に描きつくされているだろうか?
 工場閉鎖、賃銀不払、労働強化、三百万の失業と農業恐慌――資本家地主は遂に満蒙で帝国[#「帝国」に×傍点、伏字を起こした文字]主義侵略戦争[#「侵略戦争」に×傍点]を始め、飢えた勤労大衆の血[#「血」に×傍点]で、植民地再分割[#「分割」に×傍点]と
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