不満と希望
――男性作家の描く女性について(『読売新聞』記者との一問一答)――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

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(例)社会的なつながり[#「つながり」に傍点]において
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問「男の作家に女性が書けるか書けないかというのは小説が書けるか書けないかというのと同じ愚問ですが、書けているとか、書けていないということはいえると思います。で女流作家の立場から男の作家の女性描写を検討していただきたいのです」
答「文学の上でネ、女を男の作家が書くとか書かないということは大づかみにいえばネ、その作家がどの程度まで現実的な人間を書けるかという問題になるでしょうから、その点だけいえばネ、それぞれの作家が生きていた時代やその作家の持っていた可能性をの範囲でネ、過去のすぐれた作家、現在の優秀な作家はネ、女をそれぞれに書いていると思います。たとえばトルストイが『アンナ・カレーニナ』を書き、『戦争と平和』の中でナターシャとかアンドレー公夫人とか、それから公爵令嬢マリアなどを、あんなにいきいき書けたことはすでに知れわたっていることだし
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